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印刷用紙の種類

    紙の種類は様々ですが、印刷に使われる用紙は大きく「塗工紙」「非塗工紙」に分けられます。

    塗工紙とは

    塗工紙は文字通り、紙の表面に白土(カオリン)などの白色顔料を塗布したもので、以下のような目的があります。

    • 表面を滑らかにする
    • インクの定着をよくする
    • 発色性を高める
    • インクの乾きを早め、印刷効率を上げる
    • 表面に光沢を出す 等

    さらに、表面仕上げの仕方によって、グロス系(光沢が強いもの)、マット系(光沢を抑えたもの)、ダル系(白紙部分はマット、インクののった部分はグロスになるもの)に分かれます。

    コート紙

    印刷で使われる代表的な塗工紙は「コート紙」「アート紙」です。塗料の塗布量によって区別されます。

    コート紙は、塗料の塗布量が片面1m2あたり10g前後(両面では15〜20g程度)のものを指します。

    表面はツルツルとした光沢のある紙で、雑誌の表紙、口絵、チラシなどに使われます。比較的安価なため、幅広い印刷物に用いられます。

    コート紙よりも塗料の量が少ないものは「微塗工紙」と呼ばれ、発色は劣りますが安価なためチラシ等によく使われています。

    チラシを印刷している画像

    アート紙

    アート紙は、塗料の塗布量が片面1m2あたり20g前後(両面では40g程度)のものを指します。塗料の量が多いぶん、コート紙よりも厚みがあります。

    光沢が強く発色が良いのが特徴です。鮮やかな色や深い色を精密に再現するのに適しており、美術書やカレンダー、カタログなどに使われます。

    価格は高めですが、高級感があります。

    光沢のある用紙の書籍の画像

    マットコート紙

    コート紙の表面に、光沢を抑えるための塗料を塗ったものです。しっとりした落ち着いた質感が特徴で、コート紙よりやや厚みがあります。

    光沢がないぶん文字が読みやすいのも特徴で、文章の多いパンフレットや冊子などに適しています。鉛筆やペンで多少の書き込みもできます。

    コート紙より価格はやや高めですが、比較的リーズナブルなので、多くの印刷物に使われています。

    チラシのイメージ画像

    非塗工紙とは

    紙の表面にコート剤を塗布していない紙のことです。化学パルプ(化学的に不純物を取り除いたパルプ)の含有率によって、「上質紙」「中質紙」に分けられます。

    塗工紙より発色性が劣るためカラー印刷には向きませんが、文字の可読性に優れているため、書籍の本文や漫画雑誌などに使われます。

    上質紙

    化学パルプの含有量が100%のものです。破れにくくパルプのさらさらとした優しい手触りが特徴です。

    原料のパルプは木材のほか、昨今は環境配慮の視点から、再生紙やバガス(サトウキビの繊維)などの非木材のパルプも増えています。再生紙を利用したものは、普通の上質紙に比べて白色度は劣ります。

    書籍のイメージ画像

    中質紙・更紙

    化学パルプの含有量が40〜90%以上のものを「中質紙」、40%未満のものを「更紙(ざらし)」と呼びます。

    ざらざらとした手触りで精密な印刷には向きませんが、中質紙は教科書や雑誌、更紙は漫画雑誌や新聞などに使われています。

    新聞のイメージ画像

    その他の印刷用紙

    印刷用紙としてよく使われる「コート紙(アート紙を含む)」「マット紙」「上質紙」の以外の紙は「特殊紙」と呼ばれます。

    紙に凹凸をつけたりラメを漉き込んだりするなどの特殊な加工を施したもの(例:マーメイド紙、ミランダ紙)や、原料がパルプではないもの(例:ユポ紙)などがあります。

    にじみや風合いを楽しんだり、水に濡れてもにじんだり破れたりしにくかったり、それぞれ個性や強みがありますので、目的やデザインに応じて使い分けます。