この度、第11次ものづくり補助金の申請を行い、弊社の事業計画が採択されました。この補助金を活用して、新たな色校正用インクジェットプリンターおよびカラーマネジメントシステムを導入いたしました。
現状として、弊社が得意とする色校正を取り巻く問題があります。
昨今、デジタルプルーフの普及や短納期印刷の増加により色校正の需要が相対的に下がったことで、校正専用機の製造やサポートが次々と終了しています。しかし、色校正の需要はいまだに高く、特に包装印刷では、パッケージの色は売り上げをも左右する第一印象への影響が大きいため、精密な色校正が欠かせません。
弊社ではこれまで、DDCPやインクジェットプリンターによる色校正を行なってきました。
DDCP(デジタル簡易校正機)は色再現性や安定性に優れていますが、メーカーのサポートは既に終了しており、フィルム等の専用資材も新たに入手することが難しい状況です。一方、インクジェットプリンター校正では色の再現性に課題があり、実際の印刷機を使って行う本機校正では、印刷機の不稼働時間の発生、インクのロスや高コストといった問題があります。
そこでこの度、ものづくり補助金を利用して色校正システムの刷新を図ることにいたしました。
MPインクジェットプリンター
MUTOH VJ-628MP
カラーマネジメントシステム
CGS ORIS FLEX PACK
これまでの色校正では3〜6回ほど印刷会社からの手戻りが発生することもありましたが、新設備の導入により手戻りを大幅に減らすことができ、スピーディかつ低コストな色校正を実現できます。
さらに、これらに加えて新しい顔料インクジェットプリンターも導入いたしました。特色を含めた11色のインクで、従来のプリンターより再現可能な色範囲が広がります。
顔料インクジェットプリンター
EPSON SC-P9050V
また、MPインクジェットプリンターの導入により弊社の目指す「あらゆるものに印刷を=メディアフリー印刷」の実現にも近付きます。
弊社はすでに、UVインク、顔料インクの2種類のインクジェットプリンターを活用しておりますが、それぞれに長所もあれば、少し不十分な点もあります。
今回、MPインクという新たな印刷手段を導入することで、従来のプリンターに足りない部分を補い、さらに発展させることができると考えています。
例えば、UVインクは比較的多様なメディアに出力ができますが、インクが乾くと硬くなるため、素材によっては折り曲げた際にインクが割れてしまうことがあります。一方、MPインクは、メディアへの定着がよく、乾いた後に折り曲げてもインクが軟らかく伸びるため比較的割れにくくなります。
試作品やサンプル作成にも活用できますので、新しいアイデアの実現などに、ぜひ加瀬澤製版の設備をご利用ください。